レースドールという繊細な芸術作品を、写真でどう残すか
浜松市のレースドールスタジオ ティアラ主宰
足立優子先生の作品撮影を担当させていただきました。ありがとうございます。
今回のご依頼は、芸術家紹介冊子に掲載するための「作品写真」。
正直に申し上げると、このお話をいただくまで私は「レースドール」という存在を知りませんでした。
実際にアトリエで拝見し、その繊細さと美しさに驚かされました。

レースドールとは
レースドールは、磁器製の人形作品です。
最大の特長は、衣装に使われている本物の布レース。
型抜きされた人形のボディに、液状の粘土を染み込ませたレース布を貼り付け、高温で焼成します。
焼成の過程で布は消え、粘土部分だけが磁器として残ります。
その結果生まれるのが、
- 幾重にも重なった繊細なレース模様
- 透けるような軽やかさ
- 磁器ならではの透明感ある色彩
一見やわらかな布に見えるスカートが、実は硬い磁器。
この“質感のギャップ”こそが、レースドールの魅力です。

作品写真は「白」をどう残すかが難しい
レースドールは白を基調とした作品が多く、
その白の美しさをどう表現するかが撮影の要です。
白い被写体は、
- 明るくしすぎると白が飛ぶ
- 暗くすると重たくなる
- 影が強いと繊細さが失われる
という難しさがあります。
まずは打ち合わせ時に簡易ライティングで試し撮りを行い、
- 目線の高さ
- 撮影角度
- 背景色
- 光の雰囲気
を一緒に確認しました。
本番前には私の自宅で実際のサイズ感を想定し、
ぬいぐるみを使って同様の光環境を再現してシミュレーションも行います。
作品は高さ約30cmほど。
小さいからこそ、光の当たり方ひとつで印象が大きく変わります。
光で“やわらかさ”をつくる
今回の撮影では、
- やわらかい白背景
- 青のグラデーション背景(空を思わせる演出)
の2パターンをご用意。
大きなやわらかい光源を片側から当て、
反対側は白い板で光をやさしく返します。
必要に応じて影を締め、
レース模様の立体感がきちんと出るよう微調整。
難しい専門用語よりも大切なのは、
作品の繊細さを壊さない光をつくること。
光が強すぎても、弱すぎてもいけません。
磁器の透明感、レースの立体感、その両方が伝わるバランスを探ります。
作品撮影は、テクニックで押し切るものではなく、
作家の世界観を読み取る時間でもあります。
作家の想いを、写真に翻訳する
足立先生はとてもチャーミングで、
制作背景や師匠のお話も聞かせてくださいました。
レースドールの世界では著名な先生に師事され、
現在は東京や神奈川からも生徒さんが通われているとのこと。
作品は単なる“物”ではなく、
作家の時間と想いの結晶です。
だからこそ撮影では、
- どんな雰囲気で見せたいのか
- どんな印象で伝えたいのか
- どんな世界観を大切にしているのか
を丁寧に共有しながら進めます。
写真は記録であり、同時に表現でもあります。
作品撮影・アーティスト撮影のご相談
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繊細な作品ほど、光と向き合う時間が重要です。
作品の世界観を丁寧に表現する撮影を心がけています。
レースドールにご興味のある方は
レースドールスタジオ ティアラ様のホームページもぜひご覧ください。
http://www.lacedoll.jp/
出張撮影・作品撮影カメラマン 内藤昭太