夏夜の花火大会の必勝撮影テクニック= NDフィルター + 場所 + 三脚 + カメラ設定値。
今回、浜松市のある企業様の新聞広告(広報)のカメラマン仕事の一環として、その撮影日前日に数年ぶりに開かれる「佐鳴湖花火大会」の写真を、広報仕事とは別に、個人的に関連の写真素材(著作権保持)としてご提供するために花火を撮ってみました。
全国的に花火大会はコロナ禍の影響で何年間も開催が中止となっており、綺麗な花火の新しい写真も読者の目に止まっていたたけると嬉しいかなという思いと、花火撮影も久しぶりなので、「佐鳴湖花火大会」が開催される、静岡県浜松市にある佐鳴湖公園東岸に出かけてみた次第です。2022年は、15分間の短い打ち上げでした。
(1)撮りたい画を考えてから撮影場所を決めること。三脚が観客の迷惑にならない場所に。
花火大会撮影の第一かつ最大のテクニックは、ベストな撮影場所・ポジションを確保すること。
「打ち上げ場所」の特定(想定)と、「花火打ち上げの最高到達点が、レンズ画角に収まること」さらに「花火だけでなく、風景も必要な場合はその風景が見える場所」に、早めに行って陣地確保し、早々にカメラを載せた三脚を立ててしまうことです。
今回、佐鳴湖畔にてポジション確保したのが、打ち上げ場所(だと推測)の対岸の岸の、水路の真横(落ちたらアウト)。その先端です。そうすることで、自分の後ろにはおそらく観客が来ないと想定したからです。
もしくは、単純に風景を入れない「花火」だけを純粋に撮るなら、上空でフレーミングできれば良いので、観客エリアの最後尾で脚立を立てるという考え方もあります。
「湖面に映る花火」も表現したいため、佐鳴湖南岸〜東岸まで、三脚+カメラをかついで、湖面が見えて、打ち上げ場所も見えるところを歩いて探すのです。なかなかの体力勝負。
場所を決め、三脚を展開したら、明るいうちに「ピントを合わせる位置(花火打上位置など)」をAFでオートフォーカスし、あとはマニュアルフォーカスMFにして、ピントリングが動かないようにマスキングテープで固定しておきます。
(2)花火撮影では、天気の運も大事 + 待つ忍耐力はもっと大事。
花火大会が始まるのをただひたすら待つ・・・。なかなか暗くならない・・・。
もちろん雨など天気が良くなければ花火は撮れない。このあたりは普段の行いが物を言う・・・。運も才能のうち。
でも暇だ・・・。良い場所を早く確保したカメラマンの試練でもある・・・。
花火開始まで約3時間、湖畔でひとり・・・。でも、このぼんやりと風景をただ眺めているのもたまには良い。
(3)花火撮影の必須アイテム 、それが長秒露光撮影時の総光量を抑えるNDフィルター。
これが無いと花火大会撮影が無理という、必須アイテムが「NDフィルター」です。
NDフィルターは、レンズ前面のフィルター枠に装着し、レンズに入る光量を抑える役割のサングラスのような見た目の黒っぽいフィルターです。
写真の撮影では川や海の水の流れを消すためのスローシャッター撮影に使われるぐらいで、頻繁に使うフィルターではないのは確かです。
屋外晴天時の動画の撮影では、まず動画の動きを表現するためのシャッタースピードが優先で、SS 1/60〜1/100 程度には落とさないといけないのでND8やND16フィルターは動画撮影に大事なフィルターです。
今回使用したのは、MARUMIのND16のC-PL付きの77mm径 旧製品のCREATION ND-C-PLフィルター。NIkon Z 24-120mm f4に装着します。
暗い夜中に、さらに光量を落とすNDフィルターをなぜ装着するか?と思いますよね。(私もそうでした)
花火撮影にNDフィルターが必須な理由は「花火大会の多数の花火が開く、尺玉や連発花火、フィナーレ付近のスターマイン等の、長時間露光、長秒撮影時の総光量を抑えて、花火写真の露出オーバー(白飛び、色が消える、光跡が消える)を防ぐためです。
ND4〜ND16フィルターがあれば、あとはISO感度や撮影秒数(バルブ)で適宜、露出を調整します。
マルミ光機|MARUMI 77 mm CREATION CPL/ND16WR 価格:25,080円 |
Leofoto(レオフォト) LS-323C カーボン三脚単品[レンジャーシリーズ|最大脚径32mm|3段|3/8,1/4インチ対応] 価格:29,700円 |
後は、剛性の高い三脚も必須です。三脚はカーボン製のLeofotoレオフォト製品がおすすめです。私の使うのはLS-323C 32mm径カーボン三脚です。
ビデオ雲台・自由雲台はこれだ!とおすすめできる商品がわからないので、探してみてください。
(4)花火大会の必須テクニック = カメラ設定値を理解しておけば、確実に撮れる。
花火写真撮影の成功可否は、この「カメラ設定値」でほぼ決まります。
(ご注意)私の場合、上述のND16-C-PL装着が前提となります。ND4〜ND8だと下記の値が違ってきます(ISO感度がもう少し低めになる)ので、適宜調整してください。
花火撮影のカメラ設定値(※環境光の暗さや、打ち上げ花火の大きさや間隔によって適宜調整)
・絞り値 f8〜f9
・ISO感度 200(100)〜500前後
・ホワイトバランス 3500K前後
・露光時間 5〜15秒前後(カメラのシャッタースピードをBULBにしておく)
・ピント位置は明るいうち決めたら、マニュアルにしてテープ等でフォーカスリングを固定
・剛性の高いカーボン三脚は必須
・レンズは標準ズーム24-70mmがあればOK。打ち上げ場所が極端に近い場合は広角レンズは予備で必要。
レンズ画角24mm、ISO250(最初)〜ISO500(フィナーレ近く)、絞り値 f8(最初)〜f9(フィナーレ近く)、ホワイトバランス(色温度)3500K(ケルビン)固定。撮影は「バルブBULB」にして、撮影秒数はおおよそ5秒(最初)〜13秒(打上花火が多数重なる時、フィナーレ近くの大きく開く尺玉など)です。
明るさ(環境光、最初はうっすら暗く、最後は真っ暗)や、花火の光量(大きさや数、打ち上げ間隔の長さによる)によって、撮影中はトライ・アンド・エラーを繰り返して設定を微調整しなくてはなりません。慣れるまで何度も挑戦すれば、確実に花火は撮れます。
(4)花火大会の撮影テクニック、あとは「天気の運(雲、風)」+「じっと待つ忍耐力」
花火大会がスタートしたら、後は「花火の打ち上げ(音で判断)〜花火が開く〜消えるまで、シャッターをバルブで空けておく(例、5〜13秒押して、離す。)
あと綺麗な写真になるかは、晴れてくれるのはもちろんですが、「雲の高さ」「風の有無」です。特に風が少しあったほうが、前の花火の煙を流してくれるので、モヤモヤが映らなくて綺麗です。
それと、「じっと待つ忍耐力」もカメラマンには必要。風景を何時間もぼーっと観ていられる性格も必要になります。
こうやって撮影画像を見直すと、長い秒数を露光する花火写真というのはある意味「リアルではない、合成したアートワーク」とも言えますね。カメラマンの押すシャッターの秒数で光跡の大きさも変わってきますから。
風景はいらずに花火の形や色のみを撮りたい場合は、フレーミングをやや広めに余白をもって、一番大きな画像サイズで撮影しておき、後で花火の部分でトリミングするのが楽です。
花火撮影は、とにかく「トライ・アンド・エラー」です。
まずは、頑張って花火大会会場まで足を運ぶこと。そして大会中は花火を1人の観客として楽しむこと。夏を楽しもう。
静岡県浜松市の出張写真撮影フォトグラファー * 笑顔を撮るカメラマン 内藤昭太 *
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